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文献詳細

雑誌文献

生体の科学5巻6号

1954年06月発行

文献概要

綜説

細胞呼吸におけるチトクロームaの役割

著者: 奥貫一男1 瀨屑一郞1

所属機関: 1大阪大学理学部生物学教室

ページ範囲:P.265 - P.272

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問題のおこり
 肺で酸素を結合した,オキシヘモグロビン(O2Hb)は動脈を流れて組織のすみずみまで運ばれて行く。O2Hbは周知のようにヘモグロビン(Hb)の酸化物ではなくHbの鉄は2価のまま酸素分子を結合しているもの(Oxygenierun)である。これが酸素分圧の低い組織内では
(1)O2Hb→O2+Hbで示される反応をして結合をしていた酸素分子を放ち.Hbは静脈を流れて心臟に戻る。後右心室から肺動脈に押出されて肺胞をとりまく毛細管を流れる時に(1)式の逆反応をしてO2Hbになる。即ち(1)式反応は可逆的である。従つて酸素分圧の低い組織でも(1)式の右行反応をする時に放出した酸素分子を受取るものがないと,多かれ少かれ(1)式の左行反応が起ると考えられる。もしそれが筋肉内でで行われるなら放出された酸素分子はミオグロビン(Mb)に受容され,
(2)O2+Mb→O2Mbで示されるようにオキシミオグロビン(O2Mb)を生成する。純粋に単離,結晶化されたMbでも(2)式反応が証明された。又一方純粋に単離結晶化されたHb標品についても(1)式反応が証明され,それらの反応速度が詳しく研究された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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