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文献詳細

雑誌文献

生体の科学5巻6号

1954年06月発行

文献概要

報告

単一神経線維の簡単な分離法

著者: 市岡正道1

所属機関: 1東京医科歯科大学生理学教室

ページ範囲:P.285 - P.285

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 蟇(或は蛙)の坐骨神経から単一神経線維を分離するのに,私は次のような方法で神経上膜(Epineurium)をはがしているが,比較的簡単で初心者でもすぐ行えるので,幾らか参考になるかと思い茲に御紹介致し度い。ただ,私の方法は,単一神経線維だけを分離するのであつて,それに所属する筋は捨てて了うのであるから,分離した神経線維の機能をみるのに,筋の攣縮を手掛りにしてという訳にはいかない。必ず神経の活動流を観察,或は記録しなければならない不便があることを予めお断りしておく。
 さて型の如く,まず坐骨神経をとり出すのであるが,私の方法では,中枢端は大腿の上端で大凡梨状筋(M.piriformis)の高さで,末梢端は脛骨神経(N.tibialis)と腓骨神経(N.fibularis)との分岐部より約5mm末梢の高さで神経を切りこの範囲の坐骨神経をとり出す。次に,脛骨神経と腓骨神経とを左右の手にもつて慎重に然も一気に引きはなす。そうすると,両神経の分岐部から神経上膜が簡単にスルスルとめくれて,両神経に相当する二本の神経線維「束」がえられる。ただこれだけなのである。要するに田崎氏のように,脛骨神経から腓腹筋に入る神経枝をみつけて,その分岐部を突破口として神経上膜をはがして行く方法によらないのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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