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文献詳細

雑誌文献

生体の科学50巻1号

1999年02月発行

文献概要

解説

精神分裂病の原因遺伝子研究の現状と今後の展望

著者: 辻田高宏1 新川詔夫2

所属機関: 1長崎大学医学部精神神経科 2長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設

ページ範囲:P.65 - P.71

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 精神分裂病は感情障害(躁うつ病)とともに二大内因性精神病の一つであるが,いまだ生化学的・細胞学的異常が不明であり,本態の解明にはポジショナルクローニング(positional cloning)や候補遺伝子アプローチ(candidate gene approach)などを中心とした分子遺伝学的手法に対する期待が大きい。このような手法が精神分裂病の病因研究に本格的に用いられるようになったのはこの10年程のことであるが,現在までのところ病因遺伝子の同定に成功したものはない。その背景には,診断基準の曖昧さ,スペクトルの広さや遺伝形式が不明であること,遺伝的異質性(genetic heterogeneity)の存在する可能性など疾患特有の問題点が指摘されている。ここでは,精神分裂病の遺伝学的研究の現状と問題点,今後の方向性について概説する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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