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1980年代の終わりに始まった神経伝達物質受容体のクローニング競争は,90年代の前半でほぼ終了した。これらのうち,哺乳類の中枢神経系において,代表的な神経伝達物質であるグルタミン酸の受容体は,当初,アセチルコリン受容体やグリシン受容体などと同様,アミノ末端,カルボキシル末端の両方が細胞外に存在し,四つの膜貫通ドメインを有すると考えられていた。しかしその後,矛盾する報告が相次ぎ,細胞膜における正確な構造を決定する試みがなされた。その結果,図1のような構造であることが'96~'97年頃までに明らかとなった。この結果,カルボキシル末端領域は最長の細胞内ドメインであることが示され,次のステップへの大きな足掛りとなった。すなわち,現在の神経科学分野のトピックスの一つとなっている,「神経伝達物質受容体の細胞内末端領域に結合するタンパク質のクローニングとその機能」である。近年,次々にクローニングされているこれらのタンパク質は,受容体を細胞膜上の特別な位置(シナプス)に固定する役割を担い,神経伝達に重要な役割を果たすことが明らかになってきた。
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