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特集 リソソーム:最近の研究
リソソーム酵素選別シグナル
著者: 西河淳1
所属機関: 1岡山理科大学理学部生物化学科
ページ範囲:P.85 - P.91
文献購入ページに移動 種々の細胞において新しく生合成された酸性加水分解酵素は,その糖鎖にリソソーム輸送の指標となるマンノース6リン酸(Man-6-P)残基が付加され,その指標を持つものはMan-6-P受容体によって細胞内のエンドソームに輸送され,リソソームに局在化する(図1)1,2)。この時,細胞内で同時に生合成された多くのタンパク質の中から,リソソーム酵素のみが識別され,指標が付加されなければならない。N-アセチルグルコサミンホスホトランスフェラーゼ(UDP-N-acetylglucosamine:Lysosomal enzyme N-acetylglucosamine-1-phosphotransferase,以下GPT)は,指標を付加する反応の最初に働く酵素で(図2),この酵素の作用する,作用しないといった反応性がリソソーム酵素の選別機構になっている。では,GTPはリソソーム酵素の何を認識して作用するのか。本稿では,GPT認識シグナルの解析において,DNase Iを用いて行ったわれわれの研究を中心に紹介する。
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