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文献詳細

雑誌文献

生体の科学50巻2号

1999年04月発行

文献概要

特集 リソソーム:最近の研究

リソソームとアポトーシス

著者: 石坂瑠美12 内海俊彦2 矢吹宗久1 勝沼信彦3 内海耕慥1

所属機関: 1倉敷成人病センター医科学研究所 2山口大学農学部生物資源科学科応用生物化学講座 3徳島文理大学健康科学研究所

ページ範囲:P.117 - P.126

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 アポトーシスは細胞の“死滅過程”の一種であり,1972年Kerr1)により見出された。この細胞死の過程では,死につつある細胞から放出されるものはなくクリーンな死であり,発生段階で細胞が秩序だって死滅する現象である“プログラム細胞死”は典型的なアポトーシスによる細胞死である2-4)。このアポトーシスは単に不必要な細胞の除去機構としてだけでなく,生体のホメオスタシスに積極的な役割を演じている2-4)。アポトーシスの機構解析は近年著しく進展し,一部の分子機構はかなり詳細に解明されてきた。
 その一つは,腫瘍壊死因子(TNF-α)やFasリガンドによる細胞表面受容体を介するアポトーシス誘導機構である。これらの細胞外因子は,それぞれ特異的な受容体に殺細胞シグナル分子として結合し,cysteine aspartase(カスパーゼ)カスケードを活性化して5,6),death substrateと呼ばれる一群の細胞内蛋白質を分解することにより細胞死を誘導する7)。また他の一つは,ミトコンドリアから遊出するシトクロムcを含むapoptotic proteaseactivating factor(Apaf)複合体によるアポトーシス誘導機構である8,9)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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