特集 リソソーム:最近の研究
プロテオリピッドの分解とリソソーム
著者:
木南英紀1
江崎淳二1
谷田以誠1
所属機関:
1順天堂大学医学部生化学第一講座
ページ範囲:P.140 - P.144
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プロテオリピッドはクロロホルム-メタノールなどの有機溶媒に溶ける,一種のリポタンパク質という概念で名づけられた。最近では,プロテオリピッドといえば,脳組織のミエリンに特有なプロテオリピッド1)(リポフィリン,lipophilinとも呼ぶ)を指すこともしばしばあるが,ここでは,種々の組織に存在するプロテオリピッドも含めることにする。ミトコンドリア内膜に局在するATP合成酵素のサブユニットcはプロトンチャネルの構成要素であり,分子のほとんどをミトコンドリア内膜に埋め込んだ分子量7608の非常に疎水的なプロテオリピッドである。ATP合成酵素のサブユニットcもリポフィリンも,高度に保存された極めて疎水的な膜内在性タンパクである。プロテオリピッドのような膜に埋め込まれた疎水性タンパク質の分解機構については,方法論の制約もあり,今までほとんど研究されていなかった。本稿では,プロテオリピッドの分解に関する研究の発端となった神経性セロイド様リポフスチン蓄積症とその研究の発展から,「プロテオリピッドの分解とリソソーム」について考察する。