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特集 時間生物学の新たな展開
視交叉上核におけるバゾプレッシン分泌とその制御
著者: 山岡貞夫1 渡辺和人1
所属機関: 1獨協医科大学第一生理学講座
ページ範囲:P.188 - P.192
文献購入ページに移動 哺乳類における概日リズムオッシレータの存在部位とされる視交叉上核には,多くの種類の生理活性物質(vasopressin;AVP,vasoactive intestinal polypeptide;VIP,somatostatin,GABA,gastrin releasing peptide;GRP)を分泌する神経細胞が存在する。このうち背内側部にはバゾプレッシン分泌細胞が多く存在し,VIP分泌細胞は腹外側部に多いことが知られている。視索上核や室傍核で合成されるバゾプレッシンは,下垂体後葉から血液中に分泌され血漿浸透圧濃度や血圧の調節に関わるが,視交叉上核のバゾプレッシンニューロンの軸索は下垂体後葉には分布しておらず,その機能はほとんどわかっていない。視交叉上核バゾプレッシンニューロンの解剖学的投射については,視交叉上核内・室傍核下部・室傍核腹側部・背内側視床下部にあることが知られている1)。また最近の報告によると,室傍核の部位には松果体からの直接連絡のあることが確かめられ2),後述のメラトニンとの関係でも興味ある。
脳脊髄液中のバゾプレッシン濃度に概日リズムがあることが知られ3),これは視交叉上核に由来するものと考えられてきた。実際,視交叉上核内のバゾプレッシン含有量に概日リズムがあり4),視交叉上核からのバゾプレッシン分泌にもリズムがあることが明らかになった5)。
脳脊髄液中のバゾプレッシン濃度に概日リズムがあることが知られ3),これは視交叉上核に由来するものと考えられてきた。実際,視交叉上核内のバゾプレッシン含有量に概日リズムがあり4),視交叉上核からのバゾプレッシン分泌にもリズムがあることが明らかになった5)。
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