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文献詳細

雑誌文献

生体の科学50巻3号

1999年06月発行

文献概要

連載講座 個体の生と死・12

四肢の発生

著者: 安田峯生1 森直樹1 津金瑞代2

所属機関: 1広島大学医学部解剖学第一講座 2札幌医科大学解剖学第二講座

ページ範囲:P.228 - P.235

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 脊椎動物では,肢(limb,appendage,extremity)とは運動器官として体幹より突出する構造をいう。これには1)正中線に沿ってあり,対をなさない正中肢(median appendage,魚の背鰭など)と,2)両体側にあって対をなす有対肢(paired appendage)がある1)。両生類以上の陸上生物では,一般に1対の前肢(ヒトでは上肢)と1対の後肢(ヒトでは下肢)から成り,それらを総称した語が四肢である。魚類ではそれぞれ1対の胸鰭と腹鰭が陸上脊椎動物の四肢に相当する。以下,本総説では主に鳥類と哺乳類の有対肢の発生について述べる。
 四肢の形態形成機序とくにその遺伝子制御については,このところ本誌も含めわが国で優れた総説2-9)が次々に書かれているので,本稿ではその理解の基礎となる形態的発生の記述に重点を置き,分子生物学的な知見はごく最近の報告をかいつまんで解説したい。また,本連載シリーズの「骨(硬組織)の発生」10)で,四肢の骨については本稿にゆだねられているので,基本的な記述を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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