実験講座
光トポグラフィによる無侵襲高次脳機能描画―発達認知神経科学領域への適用
著者:
小泉英明14
牧敦1
山下優一1
板垣博幸1
泉山昌洋2
小暮久也3
所属機関:
1(株)日立製作所中央研究所
2(医)泉仁会中江病院
3小暮医院脳機能検診センター
4東京大学大学院総合文化研究科
ページ範囲:P.236 - P.244
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脳の局部的損傷による症状の知見から,脳の機能局在は古くより知られてきた。脳地図には種々のものがあるが,G. Exner(1846-1926)の症状の地図が最も古く,さらにP. Flechsig(1847-1929)の髄鞘化地図,K. Brodmann(1868-1918)の解剖地図がある。また,W. Penfield(1891-1976)の電気刺激による脳地図もホムンクルスでよく知られている。このように脳地図には種々あるが,総称して「トポグラフィック・マッピング」(topographic mapping)と呼ばれてきた。トポグラム(topogram)の元々の意味は地形図であり,地図上にさらに別の種類の情報を載せたものをいう。近年,機能的磁気共鳴描画(fMRI:functional magnetic resonance imaging)に代表される非侵襲的な脳機能イメージング法が開発され1-3),人間の高次脳機能が計測可能になってきた。われわれも当初からfMRIの開発と研究に携わってきたが4-9),最近,さらにfMRIと相補的に利用できる新しい脳機能マッピング法を開発した10-14)。これは光を用いて非侵襲的に脳の高次機能をイメージングするものであり,「光トポグラフィ」(optical topo-graphy)と呼んでいる15-18)。fMRIと光トポグラフィは,それぞれ従来にない独自の特長を持つ。