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特集 トランスポーターの構造と機能協関
糖輸送体の構造と機能
著者: 笠原道弘1
所属機関: 1帝京大学医学部物理学教室
ページ範囲:P.274 - P.279
文献購入ページに移動 単糖の取り込みは細胞にとって必須のもので,ほとんどの細胞で細胞膜に糖輸送体が存在し,取り込みを行っている。しかも,この糖輸送体は細菌から多細胞真核細胞までメンバーとして持つ一群の巨大なファミリーを形成しており,生物の起源から存在する必須の機能を担っていることを示唆している。このGlut輸送体ファミリーのほかに,細菌では結合タンパク質を有するATP駆動型輸送体1)やphosphoenolpyruvateをエネルギー源とするPTSシステム(phosphotransferase system)2)がある。このほか糖輸送を行うものはNa+イオンの電気化学ポテンシャルを用いて能動輸送するSGLTファミリー3)があり,グルコースについては動物細胞では3種のものが知られている。本稿ではGlutファミリー輸送体に限って,特に構造と機能の研究を中心に現在までの成果と問題点,今後の展開について考えてみる。
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