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特集 トランスポーターの構造と機能協関
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銅はチトクロームcオキシダーゼ,セルロプラスミンなど様々な酵素の補助因子として働き,生体にとって必須の微量金属であるが,過剰に存在すると反応性に富んだフリーラジカルを生じ,細胞障害を引き起こすことが知られている。このため,細胞内には銅の恒常性を維持するための機構が存在し,この中で,銅トランスポータが重要な役割を担っていると考えられている。近年,この銅トランスポータの遺伝子が,バクテリアからヒトに至るまで様々な生物種からクローニングされ,その遺伝子産物が銅輸送P型ATPaseに属する蛋白であることが推定されている1)。これらの中で,ヒトの銅トランスポータであるATP7AおよびATP7Bは,それぞれ先天性銅代謝異常症であるMenkes病およびWilson病の患者において異常が報告されており,これらの病気の発症に銅トランスポータが深く関わっていると考えられている。本稿では,真核細胞における銅トランスポータを中心として,その性質および機能について述べる。
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