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文献詳細

雑誌文献

生体の科学50巻4号

1999年08月発行

文献概要

特集 トランスポーターの構造と機能協関

ABCトランスポーターの病態

著者: 和田守正1 内海健1 中村崇規1 桑野信彦1

所属機関: 1九州大学医学部生化学講座

ページ範囲:P.308 - P.314

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 生体には薬などの異物を排出して生体を防御する仕組みが備わっている。この仕組みが障害されると様々な病気が発症し,過剰に働くと薬が効かないがんが発生する。最近,この仕組みを担っている実体のいくつかが明らかにされてみると,いずれもがABC(ATP binding cassette;ATP結合カセット)トランスポーターと呼ばれるお互いによく似た一群のタンパク質であることがわかった。このタンパク質群はATPのエネルギーに依存して作動する排出ポンプであり,数回の膜貫通ドメインとATP結合領域(ABC,nucleotide binding fold;NBF)を含む一つの細胞質ドメインが各2回繰り返される構造になっている1)(図1)。最近のゲノムプロジェクトの成果として,大腸菌の全塩基配列が決定されたが,それによると最も大きな遺伝子ファミリーがこのABCトランスポーターファミリーであり,このファミリーが大腸菌からヒトまで如何に重要な働きを担っているかが推察される。以下に,このABCトランスポーターの役割とその破綻によって生ずる病態を,がんと遺伝病の二つの側面から考えてみよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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