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文献詳細

雑誌文献

生体の科学50巻4号

1999年08月発行

文献概要

解説

内分泌攪乱化学物質―いわゆる環境ホルモン

著者: 鈴木継美1

所属機関: 1東京大学

ページ範囲:P.323 - P.328

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 「人間が意図的,非意図的に作り出した化学物質が環境中に多数放出されている。その多くについて環境中にどれだけ存在し,ヒトと生態系における負荷量がどのようなものであるかは不明のままである。これまで有害化学物質についてそのリスクを低減させる諸施策が実施され,物によっては環境中濃度が低下したことを示すデータもあるが,必ずしも危険性を無視できるところまで到達していない場合が少なくない。これまでのリスク評価は単一の物質についてなされているが,現実のヒトと生態系の曝露は複数の物質の混合した状態で起こっている。市場に出回っている2,000~3,000にのぼる多量消費物質の75パーセントについて,毒性・生態毒性データは不十分である。いくつかの事例を別にして,広範囲に拡がる健康影響,生態系損傷と人工的化学物質の関係を示す直接的証拠は少ない。しかし,証拠がないことは必ずしも影響がないことを意味しない。影響を検出することが難しく費用がかかること,曝露と影響の出現の間に長い時間的遅れがあること,関連を示す研究やデータがないことなどを考えると低用量ではあっても広範囲にわたる曝露によって傷害が発生しかねないこと,時に不可逆的に,そして特に感受性の高い子供や妊婦,あるいは環境の弱い部分に起こる可能性を考えておかなければならない。
 一部の人びとにおいて化学物質の有害性が問題となることを示す証拠が増えている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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