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文献詳細

雑誌文献

生体の科学50巻4号

1999年08月発行

文献概要

解説

自己免疫性カルシウムチャネル病としての筋無力症候群

著者: 高守正治1 駒井清暢2 岩佐和夫2

所属機関: 1金沢西病院脳神経センター 2金沢大学医学部神経内科

ページ範囲:P.329 - P.336

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 免疫異常を原因とする重要な神経筋接合部疾患の一つに,前シナプス側カルシウムチャネルに病因の場が求められ,肺癌との合併頻度の高いLambert-Eaton筋無力症候群(LEMS)がある。これは後シナプス側アセチルコリン受容体を病因の場とし,胸腺異常を背景とする重症筋無力症と対照的な疾患である。近年,LEMSの発症にかかわる病原抗体の標的蛋白質であるカルシウムチャネルの分子構造が明らかになるにつれ,本病の病因,病態についても新しい知見が得られつつある。加えて,本病は癌と神経系の接点に立つ疾患として注目され,その研究は癌対策という社会的使命に資するところも大きい。
 LEMSは悪性腫瘍の患者に合併あるいは腫瘍の発見に先行し,遠隔・非転移性に発症する一連の神経疾患―傍腫瘍性神経症候群の一つである。その発見は1953年,47歳の肺癌患者の手術中にみられた麻酔薬に対する異常反応がきっかけとなった。以来,長年にわたる本病病態の研究は,神経終末の脱分極により遊離されるアセチルコリン(ACh)のCa2+依存性量子性遊離量低下が直接の原因であること,その背景にはACh遊離に先行するステップである電位依存性Ca2+チャネル(VGCC)が,これを認識する液性因子(抗体)によって障害を受ける病態が存在することを明らかにしてきた。この抗体は併存の腫瘍と神経組織に共通の抗原を認識するものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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