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特集 病気の分子細胞生物学 1.筋・神経・精神疾患
多発性硬化症
著者: 三野原元澄1 吉良潤一1
所属機関: 1九州大学医学部脳神経病研究施設神経内科
ページ範囲:P.371 - P.372
文献購入ページに移動多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)は中枢神経系の炎症性脱髄疾患であり,時間的,空間的に多発するのが特徴である。欧米白人において,その有病率は10万人に対して40~100人ほどであるのに対して,日本人ではその約十分の一である。また,神経学的所見より,わが国では欧米白人に較べ,視神経脊髄型MSの頻度が非常に高いことが以前より知られている。中枢神経ミエリン抗原による感作でMSのモデルとされる実験的アレルギー性脳脊髄炎(experimental allergic encephalomyelitis;EAE)が作製されることやMS患者でミエリン蛋白反応性T細胞が存在すること,さらに治療として副腎皮質ステロイド剤や免疫抑制剤,インターフェロンβなどが有効であることから,その病因として免疫学的機序が考えられている。
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