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文献詳細

雑誌文献

生体の科学50巻5号

1999年10月発行

文献概要

特集 病気の分子細胞生物学 1.筋・神経・精神疾患

パーキンソン病

著者: 松田博史1

所属機関: 1国立精神・神経センター武蔵病院放射線診療部

ページ範囲:P.381 - P.382

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 [疾患概略]
 1817年,James Parkinsonによってshaking palsyとしてはじめて記載された疾患であり,主に初老期に発症し,緩徐に進行する錐体外路系の変性疾患である。本邦での有病率は人口10万人あたり50~80名であるが,高齢者の増加とともに増える傾向にある。本症は中脳黒質(緻密部)のドーパミン神経細胞の変性・脱落によって,それから上行性のニューロンを受ける線条体でのドーパミン低下をきたすために発病する。残存黒質神経細胞が若年者の20%に低下すると症状が発現すると報告されている。発症原因は不明であるが,MPTPという化学物質でパーキンソン病と類似の病態が出現することが判明し,外因性または内因性中毒物質が遺伝や加齢因子とともに注目されている。振戦,筋固縮,寡動・無動,姿勢反応障害のそれぞれ独立した四大症候を示す。安静時振戦は最も目立つ徴候ではあるが,全病期を通じてこれを欠く患者がある。姿勢反応障害は初期ではまずみられない。一方,筋の受動的伸展時の歯車様抵抗としてみられる筋固縮と無動は,発病後の時期を問わず必須徴候である。通常,左右一側の振戦,筋固縮,動作緩慢で始まり,小刻み歩行や前傾姿勢など両側性障害に移行する。ただし,両側になっても初発の側に強い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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