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文献詳細

雑誌文献

生体の科学50巻5号

1999年10月発行

文献概要

特集 病気の分子細胞生物学 8.代謝・栄養障害

オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症

著者: 松田一郎1

所属機関: 1熊本大学

ページ範囲:P.436 - P.438

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 [疾患概略]
 オルニチントランスカルバミラーゼ(ornithine transcarbamylase;OTC)は肝に局在し,カルバミルリン酸とオルニチンからシトルリンへの合成に関与する酵素で,最初,分子量40,000の先駆蛋白質として合成され,ミトコンドリア内に転送される。そこで分子量約36,000の成熟酵素になり,さらに三量体を形成してはじめて活性をもつ。OTC遺伝子はXp21.1に位置し,73kbで,10のエクソンをもつ1)。OTC欠損症はX連鎖性半優性遺伝(X-linked semi dominant)の遺伝形式をとり,尿素合成異常症の中では最も頻度が高く,1/80,000と推定される。男性患者(hemizygote)の1/3は生後30日以内に発症する新生児型,2/3はそれ以後に発症する遅発型である。新生児型の臨床症状は重症では昏睡,痙攣などの中枢神経症状が前面に出るが,遅発型は一般に軽症で,繰り返す嘔吐,軽い精神錯乱などで,特に有熱時にみられる2)。重症ではほとんどが死亡し,助かっても重い後遺症を残す可能性が高い。女性(heterozygote)のほとんどは遅発型であるが,全く症状の見られないものから,発症して死に至るものまで様々である。臨床検査では高アンモニア血症,軽度の肝機能障害が見られる。血清アミノ酸分析ではグルタミン,グルタミン酸の上昇,シトルリンの低値が,尿の分析ではオロット酸の排泄増加が認められる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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