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文献詳細

雑誌文献

生体の科学50巻5号

1999年10月発行

文献概要

特集 病気の分子細胞生物学 13.感染症

クロイツフェルト-ヤコブ病

著者: 片峰茂1

所属機関: 1長崎大学医学部細菌学講座

ページ範囲:P.502 - P.503

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 [疾患概略]
 ヒトのクロイツフェルト-ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease;CJD)は伝達性海綿状脳症いわゆるプリオン病の一病型である。プリオン病は神経細胞の海綿状変性とアストロサイトの増生という特徴的病理変化を呈するが,共通して中枢神経系における不溶性かつプロテアーゼ抵抗性の異常型プリオン蛋白(PrPres)の蓄積が認められる。PrPresは宿主のPrnp遺伝子由来の正常プリオン蛋白(PrPc)から翻訳後変換により生成されたものである。プリオン病は実験動物への病気の伝達が可能であり,プリオン病脳組織中には何らかの感染因子(増殖実体)が存在する。CJDは中年以降の年齢で発症し,経過は非常に速く,歩行障害や視覚障害,精神症状が初発症状であるが,急速に痴呆が進行し,全身のミオクローヌスや特徴的な脳波異常が認められるようになり,1~2年で死に至る。
 病因により孤発性,医原性,家族性の3型に分類される。脳硬膜移植などによる医原性CJDは汚染した感染因子の医療行為を介した感染が原因であり,家族性CJDはPrnp遺伝子の変異に基づくものである。CJDは感染症の側面と遺伝代謝病の側面の両面をあわせ持つことになる。ところがCJDの90%以上は原因不明の孤発性CJDであり,Prnp遺伝子変異もなく感染の証拠もない。1996年,英国において新たな疾患概念として新型CJDが提唱された1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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