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特集 細胞内輸送
液胞への小胞輸送におけるタンパク質の選別機構
著者: 竹川薫1 田中直孝1
所属機関: 1香川大学農学部生命機能科学科生命機能工学講座
ページ範囲:P.518 - P.524
文献購入ページに移動 酵母の液胞は動物細胞におけるリソソームに相当するオルガネラであり,液胞という細胞内で隔離された空間へタンパク質を輸送させるためには様々な小胞輸送が厳密に制御されている。液胞へのタンパク質輸送に必須な遺伝子を明らかにする目的から,代表的な液胞タンパク質であるカルボキシペプチダーゼY(CPY)が誤って細胞表層へとミスソートする40種類以上ものvps(vacuolar protein sorting defective)変異株が取得された1)。現在では出芽酵母において(1)ゴルジ体からプレ液胞中間体を経て輸送される経路,(2)ゴルジ体から直接液胞へと輸送される経路,(3)細胞表層からエンドサイトーシスにより輸送される経路,(4)細胞質から自食作用などにより液胞へと輸送される経路,などの複数の液胞への小胞輸送経路が存在することがわかり,VPS遺伝子をはじめ100以上もの遺伝子が液胞へのタンパク質輸送に関与していることが明らかにされた1-3)。さらに詳細な解析から,いくつかの特徴的なモチーフを持ったタンパク質が液胞への小胞輸送には重要であることが明らかにされつつある。そこで,本稿では液胞への小胞輸送に関与する様々なタンパク質の特徴についてまとめてみた。
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