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文献詳細

雑誌文献

生体の科学50巻6号

1999年12月発行

文献概要

実験講座

ヒト染色体断片導入法を用いた動物モデルの作出

著者: 花岡和則1 早坂美智子1 蒔苗浩司1 富塚一磨2 石田功2

所属機関: 1北里大学理学部分子発生学講座 2キリンビール㈱医薬探索研究所

ページ範囲:P.595 - P.601

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 ヒトの難治疾患の多くは遺伝性であり,このような遺伝性難治疾患の解明や治療法の開発には,その疾患の動物モデルがきわめて重要である。遺伝性疾患の理想的な動物モデルは,単に症状が表面的に類似しているだけでなく,ヒト患者と相同な遺伝子の変異によりヒトと同様のメカニズムで発症されなくてはならない。このような動物モデルを手に入れるための方法として,疾患の原因となる遺伝子を人為的計画的に操作するという方法論が近年急速に進み,特にマウスでは,胚に直接遺伝子を導入することにより遺伝子機能が付加された個体(トランスジェニックマウス)を作製する方法,および幹細胞株を利用したジーンターゲッティングにより特定の遺伝子機能を欠損した個体(ノックアウトマウス)を作製する方法が確立し,優性遺伝疾患および劣性遺伝疾患の動物モデルを計画的に作製することが可能となっている。近年の遺伝子クローニング技術の著しい進歩やヒトゲノムプロジェクトの進展により,遺伝疾患の原因遺伝子が次々と明らかにされていることと相俟って,ヒト遺伝性疾患の新しいモデル動物の報告が相次いでいる。
 個体への遺伝子導入の方法としては,クローン化された遺伝子をベクターを用いて大量に増幅し,純化したDNAを受精卵に注入してトランスジェニック動物を作製するというのが一般的な方法である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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