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特集 脳を守る21世紀生命科学の展望
脳血管障害の克服―虚血性神経細胞死の遺伝子治療
著者: 島崎久仁子1 川合述史1
所属機関: 1自治医科大学第一生理学講座
ページ範囲:P.4 - P.10
文献購入ページに移動 遺伝子治療は,1990年9月のNIHにおけるADA欠損症に対しての治療を皮切りに臨床応用が開始された。開始当初は特殊な遺伝性疾患に対しての治療が主であったが,約10年を経て現在では癌やエイズなどもその対象になり,より広範な疾患の治療へと一般の期待と関心も高まってきている。脳虚血による神経細胞死に対する遺伝子治療は現在はまだ基礎研究の段階であるが,将来的には動脈硬化症,高血圧などを含むより広い領域の脳疾患にも遺伝子治療法の導入が予想されている。本稿では,まず虚血性神経細胞死について最近の知見を紹介し,続いてわれわれの行っているアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた実験結果を交えて遺伝子治療への展望を述べる。
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