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特集 脳を守る21世紀生命科学の展望
脳卒中の克服―神経細胞保護因子の実用可能性
著者: 阪中雅広1 田中潤也2 前田信治3 佐藤康二4
所属機関: 1愛媛大学医学部解剖学第二講座 2愛媛大学医学部生理学第一講座 3愛媛大学医学部生理学第二講座 4浜松医科大学解剖学第一講座
ページ範囲:P.11 - P.17
文献購入ページに移動脳卒中の病型の中でも脳梗塞(脳血栓,脳塞栓)の症例が非常に多いことに鑑みて,最近は虚血性神経細胞死の分子機構もしくはメカニズムに的を絞った研究が精力的に実施されている。実は,脳卒中研究に限らず神経変性疾患研究においても,その原因ならびに責任遺伝子の解析が膨大な新知見をもたらしている。すなわち,神経疾患の原因・責任遺伝子あるいは神経細胞死の分子機構が解明されれば,将来治療法の開発につながるという前提のもとに,われわれは過去20年間分子生物学的手法を駆使してメカニズム解析志向型研究を実施してきたのである。しかし,「病気のメカニズム解明から治療へ」という一方向の研究を重ねてゆくだけで,難治性神経疾患に苦しむ数千万もの患者を来世紀に救うことはできるだろうか,という単純な疑問をわれわれは数年前より抱き始めていた。
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