文献詳細
特集 脳を守る21世紀生命科学の展望
文献概要
大脳基底核は尾状核,被殻,側坐核,淡蒼球外節,淡蒼球内節,黒質網様部,黒質緻密部,視床下核および前障より構成される。広義には前有孔質(嗅結節)や扁桃体も含まれる。このうち,尾状核と被殻はまとめて線条体と呼ばれる。大脳基底核の機能は大脳皮質からの随意運動の出力シグナルを調節すること,また運動のプログラミングとプラニングに関与することが提唱されている。
大脳基底核が障害されると,いわゆる神経変性疾患となって現れる。代表例としては,黒質のドパミン(DA)ニューロンの変性により黒質―線条体路が障害され,振戦,無動,固縮などの錐体外路症状が出現するパーキンソン病や,線条体が変性し舞踏病といわれる錐体外路症状が現れるハンチントン病がある。これらの疾患の原因遺伝子については,最近分子レベルの研究が大いに進み,parkinやhuntintinなどが発見された。しかし,これらの遺伝子障害が最終的にそれぞれの疾病として表出される過程についてはまだ不明な点が多い。一方,神経変性疾患に対する治療手段は残念ながら現在のところまだ確立されていない。ニューロンを含めた細胞死のメカニズムがかなり明らかになってきたので,近い将来は細胞死のカスケードを制御することによって新しい治療/予防法が開発されるかもしれない。本稿では,脳内に細胞を移植(補充)することによって,失われた機能を再生・再建させようという神経細胞移植の最近の進歩について概説する。
大脳基底核が障害されると,いわゆる神経変性疾患となって現れる。代表例としては,黒質のドパミン(DA)ニューロンの変性により黒質―線条体路が障害され,振戦,無動,固縮などの錐体外路症状が出現するパーキンソン病や,線条体が変性し舞踏病といわれる錐体外路症状が現れるハンチントン病がある。これらの疾患の原因遺伝子については,最近分子レベルの研究が大いに進み,parkinやhuntintinなどが発見された。しかし,これらの遺伝子障害が最終的にそれぞれの疾病として表出される過程についてはまだ不明な点が多い。一方,神経変性疾患に対する治療手段は残念ながら現在のところまだ確立されていない。ニューロンを含めた細胞死のメカニズムがかなり明らかになってきたので,近い将来は細胞死のカスケードを制御することによって新しい治療/予防法が開発されるかもしれない。本稿では,脳内に細胞を移植(補充)することによって,失われた機能を再生・再建させようという神経細胞移植の最近の進歩について概説する。
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