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特集 脳を守る21世紀生命科学の展望
知的障害(精神遅滞)の克服
著者: 山形崇倫1 桃井真里子1
所属機関: 1自治医科大学小児科
ページ範囲:P.54 - P.60
文献購入ページに移動 知的障害(精神遅滞,MR)は発症頻度が2-3%と発症頻度が高い疾患であるが,原因不明のものも多い。近年,MRの原因となる遺伝子異常が次々と明らかになっている。MRは多くの神経疾患,先天異常の一症候として合併するため,その原因は限りなく多様であるが,ほかの症候を呈さず,知的障害が主要の症候である病態(non-specific mental retardation)に焦点をあて,その中でも特に樹状突起形成,シナプス機能およびDNA不活化に関連する遺伝子を中心として最近の知見と研究の方向性を記す。ほかの特異的症候を除外した病態の原因遺伝子は,まさに,脳の高次機能のみに直接関与する遺伝子であり,これらの研究の進展は,高次脳機能へ医療が介入しうる糸口でもある。
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