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文献詳細

雑誌文献

生体の科学51巻1号

2000年02月発行

実験講座

マイクロアレイ技術を用いた発現プロファイルの解析

著者: 田中敏博1 中村祐輔1

所属機関: 1東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターゲノムシークエンス解析分野

ページ範囲:P.74 - P.79

文献概要

 ヒトのゲノムは30億塩基対からなり,総計10万種類に及ぶ遺伝子をコードしていると考えられている。この中で,機能解析の行われている遺伝子はせいぜい8千に過ぎず,残りの大半は全くキャラクタライズされていないのが現状である。一方,ヒトゲノム計画の進行につれ,機能未知の遺伝子もしくは遺伝子断片の塩基配列が数多く判明してきている。例えば,米国のNational Centerfor Biotechnology Information(NCBI)にUnigeneというデータベースがある(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/UniGene/)。これは,Gen-Bank DNAデータベースに登録されている塩基配列のうちヒト由来のものだけを集めて,互いにホモロジー検索を行い,一致する部分を持つものを同一遺伝子と判断し,クラスター(群)を作るものである。このデータベースは日々更新されており,1999年10月現在,約8万のクラスターが存在している。多少の重複はあると思われるが,10万種類あるといわれている遺伝子のうちすでに8割のものについては,少なくともその一部の塩基配列が判明していることになる。
 このヒトゲノム計画の進行状況をふまえると,これからは状態の差異,例えば臓器の違い,刺激に対する反応の違いなどを,最終的には全ての遺伝子セットの発現量の変化の総和として記述することができるようになると思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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