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文献詳細

雑誌文献

生体の科学51巻2号

2000年04月発行

文献概要

特集 細胞極性の形成機序

出芽酵母における細胞極性形成の分子機構

著者: 田中一馬1

所属機関: 1北海道大学医学部附属癌研究施設生化学部門

ページ範囲:P.91 - P.95

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 細胞は一般に不均一な構造を有しており,これは細胞の極性と呼ばれている。細胞の極性は個々の細胞において多様ではあるが,その細胞の機能の発現に重要な役割を果たす。細胞の極性形成の基本は,ある一群の蛋白質なり物質なりを細胞内のある特定の部位へ輸送し,集積することにある。図1に細胞極性の形成過程を単純化して示している。この過程では,まず細胞膜上に位置のシグナルが形成されると,それに向かってアクチン線維や微小管などの細胞骨格系が形成され,位置のシグナルの方向にモーター蛋白質などの働きにより輸送小胞などの物質が輸送される。出芽酵母のような単純な真核細胞にもこのような過程は存在し,出芽と呼ばれる細胞極性の形成過程を支えている。現在,この出芽過程を遺伝学的に解析することにより極性形成の基本形が明らかにされつつある。出芽酵母の出芽は,大きく,出芽位置の決定,その位置での出芽の開始,細胞膜や細胞壁の成長からなる芽の形成過程,に分けることができる。それぞれについてこれまでに明らかにされていることを述べてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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