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文献詳細

雑誌文献

生体の科学51巻2号

2000年04月発行

文献概要

特集 細胞極性の形成機序

線虫C.elegans初期胚における極性形成

著者: 田伏洋1

所属機関: 1日本電気㈱基礎研究所

ページ範囲:P.103 - P.109

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 多細胞生物の発生過程では1個の細胞―受精卵―から多種の細胞が分化してくる。細胞の分化を引き起こす要因の一つに非対称分裂が挙げられる1)。非対称分裂が正常に実行され,細胞分化に関わる因子が一方の娘細胞に分配されるには,(1)分裂に先立ち細胞内に極性が形成され,分化決定因子が正しく局在化すること,(2)局在化した分化決定因子を一方の娘細胞に適切に分配するように分裂装置が正しく配置されることが必要である。最近,細胞の極性形成について多くの知見が得られてきているが,その分子メカニズムはまだ明らかではない。線虫C. elegansの初期胚発生では,第一分裂を含む一連の非対称分裂によって運命が異なる6個の創始細胞が生み出される2)(図1)。C. elegansは(1)初期胚発生の細胞分裂過程を詳細かつ容易に観察できること,(2)遺伝学的解析に適しており,初期胚発生に関する変異体が多数分離されていること,(3)ゲノムプロジェクトの完了に加えてRNA干渉法3,4)(後述)によって遺伝子機能を逆遺伝学的アプローチで体系的に解析可能なことなどから,細胞の極性形成を解析するのに適した系として活発な研究が展開されてきている。ここでは,C. elegansの初期胚発生の中で特に第一分裂に先立って起きる細胞の極性形成と,それに関わるpar遺伝子をはじめとする極性形成遺伝子について紹介する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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