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特集 細胞極性の形成機序
出芽酵母の細胞極性転換とセプチン
著者: 松井泰1
所属機関: 1東京大学大学院理学系研究科植物学教室遺伝学研究室
ページ範囲:P.123 - P.128
文献購入ページに移動 細胞は動的な構造体である細胞骨格を基盤として,形態の変化や維持,種々の細胞内装置の配置とそれらの機能発現などを行っている。細胞骨格は微小管,マイクロフィラメント,中間径線維などのフィラメントを形成する蛋白質より構成されており,それらは古くから研究されている。しかし,最近,注目を集めはじめているセプチンは,それらと同様に細胞骨格を形成する重要な蛋白質であることがわかってきた。セプチンは,出芽酵母の細胞分裂周期異常変異株(cdc変異株)の原因遺伝子のひとつとして同定されたもので,酵母においてネックフィラメントと呼ばれる10nmの線維を形成する。酵母からヒトまで進化的に強く保存されて,蛋白質ファミリーを構成しており,セプチンの構造体が細胞質分裂をはじめとするいろいろな生体反応において,多様な蛋白質の働く基盤となっていることが明らかとなってきた1)。そして,最近の酵母研究より,細胞極性の形成や転換においても重要な働きをしていることがわかってきた。本項では,細胞骨格系の構造体としては,比較的なじみがうすいかと思われるセプチンについて概説し,その細胞極性転換に関する機能について紹介する。
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