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文献詳細

雑誌文献

生体の科学51巻2号

2000年04月発行

文献概要

特集 細胞極性の形成機序

出芽酵母の細胞極性転換とセプチン

著者: 松井泰1

所属機関: 1東京大学大学院理学系研究科植物学教室遺伝学研究室

ページ範囲:P.123 - P.128

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 細胞は動的な構造体である細胞骨格を基盤として,形態の変化や維持,種々の細胞内装置の配置とそれらの機能発現などを行っている。細胞骨格は微小管,マイクロフィラメント,中間径線維などのフィラメントを形成する蛋白質より構成されており,それらは古くから研究されている。しかし,最近,注目を集めはじめているセプチンは,それらと同様に細胞骨格を形成する重要な蛋白質であることがわかってきた。セプチンは,出芽酵母の細胞分裂周期異常変異株(cdc変異株)の原因遺伝子のひとつとして同定されたもので,酵母においてネックフィラメントと呼ばれる10nmの線維を形成する。酵母からヒトまで進化的に強く保存されて,蛋白質ファミリーを構成しており,セプチンの構造体が細胞質分裂をはじめとするいろいろな生体反応において,多様な蛋白質の働く基盤となっていることが明らかとなってきた1)。そして,最近の酵母研究より,細胞極性の形成や転換においても重要な働きをしていることがわかってきた。本項では,細胞骨格系の構造体としては,比較的なじみがうすいかと思われるセプチンについて概説し,その細胞極性転換に関する機能について紹介する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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