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文献詳細

雑誌文献

生体の科学51巻2号

2000年04月発行

特集 細胞極性の形成機序

タイトジャンクションの分子構築―接着分子クローディンファミリー

著者: 森田和政12 古瀬幹夫1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科分子細胞情報学講座 2京都大学大学院医学皮膚科

ページ範囲:P.135 - P.141

文献概要

 多細胞生物の体内は環境の異なった様々な空間に分けられている。それぞれの空間を分けているのが,上皮細胞や内皮細胞からなる細胞シートである。例えば,血管内皮,胆管上皮は管腔内と管腔外を,肺胞上皮は肺胞内と肺実質とを厳密に区分している。このことは多細胞生物の各臓器や組織が機能する上で必須であり,多細胞生物の成立にとって極めて重要なことである。
 細胞シートを構成する単層上皮細胞や内皮細胞はアピカル-バソラテラル方向の極性を持ち,細胞内器官の配置や細胞膜上の膜蛋白質,脂質の組成もこの極性に従う。すなわち,細胞膜上にチャネルやポンプは極性をもって分布し,細胞内小胞輸送は方向性をもって行われ,細胞シートの両側に特有の環境が形成されている。この環境を維持するために,単層上皮細胞や内皮細胞は細胞と細胞の隙間をシールして,物質透過を制御する必要がある(バリアー機能)。このために発達してきた特殊な細胞間接着構造がタイトジャンクションである。さらに,タイトジャンクションは細胞膜のアピカル領域とバソラテラル領域の境界を形成することから,この二つの領域間で膜蛋白質や脂質が拡散によって混ざるのを防ぎ,細胞の極性形成維持に寄与しているともいわれている(フェンス機能)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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