文献詳細
特集 自然免疫における異物認識と排除の分子機構
文献概要
免疫系の機能を簡潔にいい表すと,異物(非自己)を識別する認識能力とそれを排除する能力である。高等動物における免疫系は,特異的な認識機構とその記憶に特徴を持つ獲得免疫(aquired immunity)と,初期感染防御において重要な働きをする自然免疫(innate immunity)に分けることができる。獲得免疫が最初の感染に適応し,2回目の感染を防ぐという記憶免疫システムを特徴とするのに対して,自然免疫は本来生体に備わっており,ただちに働くという特徴を持つ。
補体系は抗体を認識分子として機能する古典的経路が先に発見されたため,抗体を補うという意味で補体と名付けられた。補体系には認識分子が関与しない第二経路があり,自然免疫に関与していると考えられた。近年,これらに加えて,血清レクチンの一つマンノース結合レクチン(MBL,以前はマンノース結合蛋白MBPと呼ばれていた)が直接異物表面の糖鎖を認識して活性化を起こすレクチン経路と呼ばれる第三の補体活性化経路の存在が明らかにされた。MBLによる補体活性化経路ははじめ古典的経路の一つのバイパスとみなされていたが,MBLと複合体を形成する新たなセリンプロテアーゼの発見によって補体第一成分C1の関与なしに起こることが明らかにされ1,2),新たな経路として確立されるにいたった。(図1)。
補体系は抗体を認識分子として機能する古典的経路が先に発見されたため,抗体を補うという意味で補体と名付けられた。補体系には認識分子が関与しない第二経路があり,自然免疫に関与していると考えられた。近年,これらに加えて,血清レクチンの一つマンノース結合レクチン(MBL,以前はマンノース結合蛋白MBPと呼ばれていた)が直接異物表面の糖鎖を認識して活性化を起こすレクチン経路と呼ばれる第三の補体活性化経路の存在が明らかにされた。MBLによる補体活性化経路ははじめ古典的経路の一つのバイパスとみなされていたが,MBLと複合体を形成する新たなセリンプロテアーゼの発見によって補体第一成分C1の関与なしに起こることが明らかにされ1,2),新たな経路として確立されるにいたった。(図1)。
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