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文献詳細

雑誌文献

生体の科学51巻3号

2000年06月発行

実験講座

小胞体内Ca2+濃度の測定法と小胞体Ca2+ポンプの機能解析法

著者: 最上秀夫1

所属機関: 1群馬大学生体調節研究所調節機構研究部門

ページ範囲:P.250 - P.256

文献概要

 カルシウムイオン(Ca2+)の細胞内シグナルとしての役割はまず骨格筋の興奮収縮連関において確立された。その後,Ca2+はセカンドメッセンジャーとして分泌,発生,分化,増殖など生体機能の制御に密接に関与していることがわかってきた。そして,1980年代にTienらのグループによって開発された細胞内蛍光Ca2+指示薬は,単一細胞レベルでの細胞質内Ca2+濃度([Ca2+1)での変化を捉えることを可能とし,細胞内カルシウムシグナルと細胞の機能の研究に大きな進歩をもたらした1)。これら研究過程で[Ca2+1は時間的,空間的,濃度的にダイナミックに変化することがわかってきた2,3)。カルシウムシグナルの形成には,細胞内Ca2+ストア特に小胞体からのCa2+の放出と小胞体Ca2+ポンプによる再吸収が非常に大きな役割を果たしている3)。近年,新たな蛍光Ca2+指示薬を細胞に負荷したり,あるいはCa感受性蛋白質を遺伝子工学的に細胞に導入することにより,細胞内小器官であるミトコンドリアや小胞体のCa2+動態を捉えることも可能になってきた。本稿では,低親和性蛍光Ca2+指示薬,mag-fura-2を用いた小胞体内のCa2+濃度([Ca2+er)の測定方法と併せて小胞体Ca2+ポンプ機能解析法をマウス膵外分泌腺房細胞を例にとり紹介する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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