icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学51巻4号

2000年08月発行

文献概要

特集 臓器(組織)とアポトーシス

神経細胞におけるアポトーシス制御因子とその制御機構

著者: 松沢厚12 一條秀憲1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子情報伝達学分野 2キツセイ薬品工業株式会社中央研究所創薬研究部

ページ範囲:P.266 - P.272

文献購入ページに移動
 多細胞生物にとってアポトーシスによる細胞死は,個体発生の過程を含め,生体機能の恒常性維持にとって不可欠の生命現象である。従って,その破綻は先天性の疾患をはじめ,癌や自己免疫疾患,糖尿病,神経変性疾患などの様々な病因につながる。神経系におけるアポトーシスは,脳の発生・形態形成過程や,老化に伴う神経変性疾患,虚血性神経疾患による細胞死などと密接に関与することから,他の組織と比較しても,その時間的・空間的な特異性が,複数の因子やステップによって極めて厳密に制御されていると考えられている。
 本稿では,アポトーシスによる神経細胞死の誘導・決定・実行に関与するシグナル伝達因子とその制御機構について,代表的な三つの経路であるカスパーゼ系,Bcl-2ファミリー系,MAPキナーゼ系について解説し,さらに細胞ストレスによる神経細胞死と神経変性疾患との関係を,最近の知見を含め概説したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?