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文献詳細

雑誌文献

生体の科学51巻4号

2000年08月発行

文献概要

特集 臓器(組織)とアポトーシス

膵腺房細胞のアポトーシス―誘発と抑制

著者: 豊田隆謙1

所属機関: 1東北労災病院

ページ範囲:P.299 - P.303

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 アポトーシスが膵疾患にどのように関与しているかは論文1)やインターネット(表1)から概略を理解できる。膵臓は外分泌腺と内分泌腺(ランゲルハンス島)から構成されるが,膵外分泌腺を構成する主な細胞は膵管上皮細胞と膵腺房細胞である。膵臓癌は上皮細胞から癌化するが,膵炎は腺房細胞壊死による破壊である。アポトーシスを誘発することで,膵管上皮細胞癌(膵癌)にたいして排除的に働くし,膵炎では膵腺房細胞の細胞防御機構を破綻させる。アポトーシスの誘発と抑制には合目的的に考えると,それぞれ二面性がみられる。
 膵炎には急性膵炎と慢性膵炎があり,急性膵炎は急性浮腫性膵炎,急性間質性膵炎,急性出血性壊死性膵炎に分類される。急性膵炎の研究は膵炎モデル動物を使って,研究が著しく進んだ。急性浮腫性膵炎のモデルとして,セルレイン膵炎ラットが使われるが,セルレインが膵腺房細胞のアポトーシスを誘導することから,膵炎発生過程でネクローシス(壊死)がアポトーシスとどのように関わっているかは興味ある研究課題である(図1)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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