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特集 臓器(組織)とアポトーシス
甲状腺におけるアポトーシス
著者: 広松雄治1
所属機関: 1久留米大学医学部内分泌代謝内科
ページ範囲:P.314 - P.318
文献購入ページに移動 アポトーシス(apoptosis),プログラムされた細胞死(programmed cell death)はネクローシス(necrosis)と対比される細胞死の様態で,個体の発生や器官の分化,生体の恒常性の維持に重要な役割を担っている1)。形態学的には細胞核の断片化,クロマチンの凝集,細胞表面微絨毛の消失,細胞質の凝縮がおこり,やがて油滴状の断片となり,食細胞に貪食されて周囲の細胞に悪影響をおよぼさずに消失してゆく。アポトーシスの調節の異常は癌,AIDSなどのウイルス感染症,自己免疫疾患,アルツハイマー病などの神経変性疾患,放射線障害など様々な疾患の発症に深くかかわっていることが明らかになってきた2)。本稿では,アポトーシスの分子機構を概説し,甲状腺疾患とくにバセドウ病や橋本病などの自己免疫性甲状腺疾患の発症における役割について述べる。
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