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特集 臓器(組織)とアポトーシス
文献概要
生体内では成熟Bリンパ球のほとんどは静止期にあるが,抗原刺激に反応して活性化し,さらに特異抗体を産生することにより異物の排除を行う。一方,通常の個体では自己成分に反応するB細胞(自己反応性B細胞)は自己抗原との反応により,機能的に不活化されるか,除去され,自己抗原の存在下でも自己抗体の産生はおこらない。成熟B細胞のアポトーシスは正常な免疫機能の維持に重要と考えられる。実際,B細胞でアポトーシス阻害分子Bcl-2を過剰発現することにより,自己抗体の産生や全身性エリテマトーデス(SLE)様の自己免疫疾患の発症がおこることが示されている1)。また,アポトーシス誘導受容体Fas(CD 95)をB細胞で欠損するマウスでは,同じく,自己抗体の産生や全身性エリテマトーデス(SLE)様の自己免疫疾患の発症がおこることが示されている2)。本稿では,成熟B細胞のアポトーシス制御の主な経路と,自己免疫疾患におけるその異常について述べる。なお,より詳しくは他の総説を参照されたい3)。
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