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文献詳細

雑誌文献

生体の科学51巻6号

2000年12月発行

文献概要

特集 機械的刺激受容の分子機構と細胞応答

カルシウム透過性機械受容チャネル

著者: 飯田秀利1 小島至2 佐籐主税3 曽我部正博4

所属機関: 1東京学芸大学教育学部生物学科 2群馬大学生体調節研究所調節機構部門 3電子技術総合研究所超分子部 4名古屋大学医学部第2生理学教室

ページ範囲:P.543 - P.548

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 細胞にとって,浸透圧,接触,液流などの機械的刺激に応答することは生命の誕生以来の,最初に直面した重要な問題の一つであったに違いない。いい換えれば,ホルモンや神経伝達物質などに対する応答機構の確立以前から,機械的刺激に対する応答機構は細胞に備わっていたと推測できる。このような応答機構の要は機械受容体であるが,形質膜に存在する機械受容チャネルは,とりわけ重要と考えられる。なぜなら,機械受容チャネルはそれ自体が機械刺激のセンサーであり,しかも細胞内にイオンを流入させることにより電気応答を引き起こし,細胞内にさまざまな変化を誘起することができると考えられるからである。さらに,もしこのイオンがカルシウム(Ca2+)であれば,脱分極だけでなくCa2+シグナルを発生させることができるであろう。
 機械受容チャネルは電気生理学的には十数年前より存在が確認されていたが1),その分子的実体はつい最近まで不明であった。しかし,昨年われわれは酵母のCa2+透過性機械受容チャネルの遺伝子を真核生物で初めて特定することに成功した。本稿ではこの研究成果を中心に解説し,合わせてごく最近のほかの生物の機械受容チャネルの分子生物学的発見について解説する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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