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文献詳細

雑誌文献

生体の科学51巻6号

2000年12月発行

特集 機械的刺激受容の分子機構と細胞応答

ずり応力下の内皮細胞細胞骨格系の動態

著者: 狩野由美子1 加藤一夫1 藤原敬己2

所属機関: 1国立循環器病センター研究所循環器形態部 2

ページ範囲:P.556 - P.561

文献概要

 血管内腔面を被う血管内皮細胞は“血流下”という特殊な環境に置かれ,常に“流れ”の影響を受けている。内皮細胞は血流そのものから,あるいは血液中に含まれる様々な成分から機械的・化学的刺激を受けると,それを生化学的情報に変換し情報伝達系を介して細胞内へ伝え,内皮細胞の生理的・形態的変化を引き起こす1)。さらにその結果として,内皮細胞の産生・放出した血管作動物質やサイトカインは,血管壁のトーヌス,凝固能,免疫応答を調節し血管機能を制御している。流れ負荷装置を用いて実験的に培養血管内皮細胞に流れ刺激を与えると,三量体G蛋白の活性化,細胞内へのCa2+の誘導,NOの放出やPGI2産生といった生理的初期反応に続いて,流れの方向に沿った細胞の伸長や細胞内アクチン系細胞骨格成分であるストレスファイバーの再構築が起こる。このような形態的変化は血管内皮細胞特有の流れ刺激に対する応答反応で,線維芽細胞などでは見られない。流れ刺激に対する血管内皮細胞の応答は,動脈硬化症や高血圧症に伴う血管性病変の発症に関与する局所的要因の一つとして臨床面からも関心が寄せられてきた。
 血管内腔を流れる血液から機械刺激として血管壁や血管内皮細胞に作用する力は,主に二つにわけて考えることができる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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