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特集 機械的刺激受容の分子機構と細胞応答
機械的刺激に対する歯根膜細胞の応答
著者: 安孫子宜光1 清水典佳2
所属機関: 1日本大学松戸歯学部生化学講座 2日本大学歯学部矯正学講座
ページ範囲:P.577 - P.583
文献購入ページに移動歯周病の病型の一つとして過剰な咬合力によって引き起こされる咬合性外傷がある。咬合性外傷の病変は歯肉には発症せず,歯根膜,歯槽骨に起こる。高度に病態が進行すると,垂直性の歯槽骨の吸収をきたし歯の動揺を呈し,やがて歯の喪失を引き起こす。一方,歯列不正を矯正する歯科矯正治療の原理は,歯の移動方向に加圧することで圧迫側歯槽骨で骨吸収が起こり,移動と反対側すなわち牽引側では骨の添加が起こることを利用して歯を移動する。咬合性外傷,歯科矯正時のこれらの現象は,周期的伸展力あるいは加圧という機械的刺激が歯根膜組織に加わることで歯根膜細胞から炎症因子,骨吸収因子などが産生されることで説明されている。
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