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文献詳細

雑誌文献

生体の科学51巻6号

2000年12月発行

文献概要

特集 機械的刺激受容の分子機構と細胞応答

メカニカルストレスと骨芽細胞の分化および骨形成

著者: 川島博行1 池亀美華2

所属機関: 1新潟大学歯学部歯科薬理学講座 2新潟大学歯学部口腔解剖学第一講座

ページ範囲:P.589 - P.595

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 生物は地上にある限り,1Gという重力に曝されている。この重力が効果を最大に発揮するのは,地上で生物が行動する場合であり,水中では約1/6程度に減少する。また,睡眠や休息状態にあるときは,さらに重力の効果は減少し,寝たきり状態やギブスによる固定など,いわゆる,不動化状態が続く場合には,筋肉や骨格など運動にかかわる組織の主要部分に対する重力の効果は実質的にゼロに近くなる。すなわち,無重力に近い状況が作り出されていることになる。このような状態では筋肉・骨ともに萎縮するが,このことは,volunteerを用いてbed restの状態を強制的に続ける実験によっても確認されている1)。宇宙飛行士の骨量が宇宙滞在中に減少し,帰還一定期間後にはほぼ回復することもよく知られている2,3)。骨量は骨吸収(骨破壊)と骨形成のバランスにより維持されているが,メカニカルストレス(MS)の減少による骨萎縮(骨量減少)の原因は主として骨形成の抑制であることが明らかにされている4,5)。一方,地上においても,MSを負荷すると骨量が増加することがよく知られており6-8),この場合にも骨形成が刺激されることが確認されている。
 このように,MSの持続的負荷が一定期間内に繰り返されることが,骨の構造と機能の維持に必要であるが,このメカニズムを説明する仮説としてメカノスタット説(mechanostat theory)9)なるものが提出されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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