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文献詳細

雑誌文献

生体の科学52巻1号

2001年02月発行

文献概要

連載講座 個体の生と死・17

胃腸粘膜の発生

著者: 片岡勝子1

所属機関: 1広島大学医学部解剖学第二講座

ページ範囲:P.61 - P.66

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 胃腸粘膜には突起や陥凹があり,上皮は多種の細胞で構成されている。胃粘膜とその小陥凹である胃小窩は,表層粘液細胞よりなる単層円柱上皮で覆われている。胃小窩下端には管状の胃腺(固有胃腺,噴門腺,幽門腺)が開口しており,ここでは固有胃腺について述べる。峡部は胃小窩と固有胃腺の境界領域で,幼若な表層粘液細胞と壁細胞がある。固有胃腺の頚部には副細胞と壁細胞が,底部には主細胞と壁細胞がある。内分泌細胞については,ここでは触れない。峡部と頚部上端は増殖細胞帯で,新生された表層粘液細胞は胃小窩を上行しながら成熟し,4~5日で粘膜表面より剥脱する。頚部上端では,主として副細胞が新生され,頚部を下行しながら成熟し,頚底移行部で主細胞になり,さらに底部を深層に向かうにつれて成熟する。壁細胞は頚部上端で新生され,大部分は腺を深層に向かうが,一部は上行して峡部に向かう。
 小腸には腸絨毛と腸陰窩が,大腸には腸陰窩のみが見られる。吸収上皮細胞と杯細胞は腸陰窩下半で新生され,陰窩・絨毛を上行しながら成熟し,小腸では絨毛先端より,大腸では粘膜表面より剥脱する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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