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シナプス小胞仮説からSNARE仮説へ―Ladislav Tauc, Heiner Niemann博士を偲ぶ
著者: 持田澄子1
所属機関: 1東京医科大学生理学第一講座
ページ範囲:P.86 - P.88
文献購入ページに移動 1990年代の神経伝達物質放出メカニズムの急進的な研究発展のひとつの糸口は,アセチルコリンを伝達物質とするアメフラシ口蓋神経節細胞シナプスの伝達物質放出の研究に勤しんできた故Ladislav Tauc博士(1926-1999:フランスCNRS)のグループと,破傷風・ボツリヌス神経毒素の活性部位の同定とその働きを明らかにしようと試みたOlivier Dolly教授(イギリスインペリアルカレッジ),故Heiner Niemann教授(1945-1999:ドイツハノーバー大学),そしてCesare Montecucco教授(イタリアパドバ大学)の各グループとの共同研究であったと,10年余りの研究の流れを見て思う。神経毒素分子の研究者とシナプス機能の研究者との共同研究は,“シナプス小胞仮説”から“SNARE仮説”への橋渡しであった。
Tauc博士の研究室では,若手研究者で才気にあふれたBernard Poulainがこの研究プロジェクトに加わり,ほぼ1年後に私が加わったのは1988年であった。私は,2年間,おもにNiemann教授のプロジェクトを任されて,神経毒素のmRNAをアメフラシの神経に発現させ,活性部位を突き止める研究に携わった。私は,Niemann教授が当時おられたチュービンゲンの研究所に幾度かお邪魔して,cDNAからmRNAの作り方を教わった。
Tauc博士の研究室では,若手研究者で才気にあふれたBernard Poulainがこの研究プロジェクトに加わり,ほぼ1年後に私が加わったのは1988年であった。私は,2年間,おもにNiemann教授のプロジェクトを任されて,神経毒素のmRNAをアメフラシの神経に発現させ,活性部位を突き止める研究に携わった。私は,Niemann教授が当時おられたチュービンゲンの研究所に幾度かお邪魔して,cDNAからmRNAの作り方を教わった。
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