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特集 情報伝達物質としてのATP
神経系におけるプリン情報伝達系研究の過去と将来:序文にかえて
著者: ジェフリー・バーンシュトック1
所属機関: 1
ページ範囲:P.95 - P.100
文献購入ページに移動 私は本特集号に執筆させていただくことに誇りを感じる。また,日本の科学者がプリン情報伝達系への強い興味を保持し研究され続けておられることに感謝の意を表する。本特集号は全く時宜を得たものであり,多くの優れた日本の研究者とともに本特集号を組めることは実に喜ばしい。
プリン神経系情報伝達の概念が提唱されて(Burnstock,1972)すでに25年以上が経過したが,ATPが神経伝達物質として認知され,末梢神経系や中枢神経系でのATPの役割が世界中の研究者により解明されるようになったのは,ここ数年の出来事にしかすぎない(Burnstock 1996a,1997,1999a)。この概念が初期にはなかなか認められなかった大きな理由は,ATPが細胞内で多くの重要な生理反応に関与していることがあまりにも熟知されていたためであり,その時にすでにATPを代謝分解する強力な酵素が細胞外で発見されていたにもかかわらず,普遍的に存在する単純な分子が細胞外で情報伝達に利用されようとは思いもよらなかったのである。
プリン神経系情報伝達の概念が提唱されて(Burnstock,1972)すでに25年以上が経過したが,ATPが神経伝達物質として認知され,末梢神経系や中枢神経系でのATPの役割が世界中の研究者により解明されるようになったのは,ここ数年の出来事にしかすぎない(Burnstock 1996a,1997,1999a)。この概念が初期にはなかなか認められなかった大きな理由は,ATPが細胞内で多くの重要な生理反応に関与していることがあまりにも熟知されていたためであり,その時にすでにATPを代謝分解する強力な酵素が細胞外で発見されていたにもかかわらず,普遍的に存在する単純な分子が細胞外で情報伝達に利用されようとは思いもよらなかったのである。
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