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文献詳細

雑誌文献

生体の科学52巻2号

2001年04月発行

文献概要

特集 情報伝達物質としてのATP

ATPのオートクリン・パラクリン作用:乳汁分泌

著者: 古家喜四夫1 中野春男2 榎本浩一3

所属機関: 1科学技術振興事業団細胞力覚プロジェクト 2農水省畜産試験場 3島根医科大学第2生理学教室

ページ範囲:P.138 - P.144

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 生体内の各組織は種類は限られているが数多くの細胞が集まってできており,中枢神経系からの制御がなくとも,それら細胞の協調によって組織は機能している。その組織内の細胞間情報伝達は,生体全体の制御に関わる神経系(シナプスを介した情報伝達)や内分泌(エンドクリン)系(ホルモンを介した情報伝達)ではなく,組織内あるいは近隣の細胞のみに作用するオートクリン・パラクリンが重要な働きをしている。特に肝臓や腎臓,骨など多くは興奮性を持たない細胞でできている組織においてその役割は大きい。オートクリン・パラクリンは,活性物質を放出した細胞の近辺の同種のあるいは異種の細胞にのみ作用する情報伝達様式であり,組織内のように同種の細胞が同期して活性物質を出すことにより,より強力なシグナルとなる。その活性物質としては各種のエイコサノイドやケモカインなどがあるが,ATPをはじめとするヌクレオチドがその働きをしていること,そしてそれがかなり普遍的であると考えられるようになってきた。本稿ではマウス乳腺でのATPの働きを例に,ATPのオートクリン・パラクリン作用について概説する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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