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特集 脳の発達に関与する分子機構
中脳領域の特異化
著者: 杉山清佳1 仲村春和1
所属機関: 1東北大学加齢医学研究所分子神経研究分野
ページ範囲:P.177 - P.181
文献購入ページに移動 情報を複合的に処理する高次脳は,脳を構成する数多くの神経細胞の一つ一つが機能的に結合し,情報を伝達することで構築される。発生の過程で神経細胞は,最終的に決定された運命に従って標的細胞へと投射し,脳の高次機能の一端を担うようになる。脳を構築する上で神経細胞の運命の決定は必須であり,その最初の段階は,胚発生のごく初期から始まる脳の領域の決定である。シート状の神経板から脳胞の形成に至る初期の領域決定は,後の脳の機能分担の大きな枠組みとなり,個々の神経分化の土台となる。脳の領域の中でも形態的,機能的に識別が容易な鳥類の中脳領域に注目し,発生の早い段階から神経細胞が個々の運命を獲得していく仕組みに迫りたい。
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