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文献詳細

雑誌文献

生体の科学52巻3号

2001年06月発行

特集 脳の発達に関与する分子機構

脳の正中交叉形成機構

著者: 谷口弘樹1 村上富士夫12

所属機関: 1基礎生物学研究所行動制御 2大阪大学大学院基礎工学研究科システム人間系専攻

ページ範囲:P.205 - P.209

文献概要

 われわれヒトを含め,多くの動物の体は左右対称の構造を有している。よって,動物は左右のバランスがとれた動きをするために,両側の感覚入力を統合し,協調した運動をコントロールする出力を産出しなければならない。このような役割を担うのが脳神経系である。脳神経系は左右対称の軸索束パターンを示し,個々の軸索のうちあるものは正中線に対して同側に投射しており,あるものは対側に投射している。このうち交叉性神経回路は,上述のような左右情報の統合に重要であると考えられている。近年,交叉性軸索投射の形成機構に関する知見が目覚ましい勢いで蓄積しつつある。この研究の進展には,脊椎動物における研究は勿論のこと,ショウジョウバエを中心とするモデル生物を用いた研究も多大な貢献をしてきた。本稿では,このような状況を踏まえつつ,最新の知見を中心に交叉性神経回路形成のメカニズムについて概説してみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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