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文献詳細

雑誌文献

生体の科学52巻3号

2001年06月発行

特集 脳の発達に関与する分子機構

ゼブラフィッシュが開く脳分化・特異化機構研究の新展開―中脳,後脳の部域特異化の分子機構解明のための包括的アプローチ

著者: 岡本仁1 平手良和1 三枝理博1 西脇優子1 田中英臣1 和田浩則1 東島眞一2 政井一郎3

所属機関: 1理化学研究所脳科学総合研究センター発生遺伝子制御研究チーム 2ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校 3科学振興事業団さきがけ研究

ページ範囲:P.216 - P.223

文献概要

 ゼブラフィッシュ(Danio rerio)は,脊椎動物の発生メカニズムを研究するための優れたモデル実験動物として注目されている。胚は透明で比較的少数の細胞からできていること,世代時間も3カ月と短いことなどの理由から,ゼブラフィッシュは細胞生物学や分子生物学における様々な研究に使われてきている1)
 われわれは最近,ゼブラフィッシュ胚から分離できるごく少量の組織を用いて,そこに発現する遺伝子群の比較を行ったり,特定の細胞だけで蛍光蛋白(GFP)を発現するトランスジェニックゼブラフィッシュを作る技術を確立した2,3)。またゲノムプロジェクトの発達によって,突然変異を分離・同定した後に,原因遺伝子を探ることも急速に容易になりつつある4,5)。このようなゼブラフィッシュの長所をフルに活用し,中脳から後脳にかけての脳の分化に関わる遺伝子を系統的に同定することが可能になってきている。これまで脊椎動物の脳の部域特異化の研究では,ショウジョウバエの転写因子に類似する転写因子を出発点として,発現解析や機能解析を行うという方法が最も大きな成果をもたらしてきた6-8)。一方で,この方法では特異化の制御因子を知ることはできるが,実際にこれらの因子の下流として機能する実動分子群の実体を明らかにすることは容易ではなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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