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文献詳細

雑誌文献

生体の科学52巻3号

2001年06月発行

文献概要

特集 脳の発達に関与する分子機構

神経細胞の軸索および極性形成の分子機構

著者: 稲垣直之12 貝淵弘三34

所属機関: 1奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科細胞内情報学講座 2科学技術振興事業団さきがけ研究21「認識と形成」 3奈良先端科学技術大学院大学 4名古屋大学大学院医学研究科細胞情報薬理学講座

ページ範囲:P.230 - P.234

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 神経細胞は脳の発生に伴って複雑な回路網を構築する。脳内における神経回路網形成は神経細胞の移動,極性形成,神経軸索のガイダンス,シナプスの形成およびその調節といった複数のステップから構成されている。そのうち極性形成は分化の初期に行われ,神経細胞の基本機能の遂行に重要な役割を果たす。すなわち,神経細胞は1本の軸索と複数の樹状突起を有する。樹状突起はその表面に神経伝達物質の受容体を発現して外部からの情報を受け取りこれを統合する役目を果たし,一方,軸索はその終末より神経伝達物質を放出することにより情報の出力を担う。その結果,神経細胞を伝わるシグナルの流れには樹状突起から細胞体を経由して軸索へと至る方向性が生じる(図1)。最近細胞極性形成メカニズムの解析が盛んに行われており1-3),神経細胞に関しても断片的ではあるがいくつかのデータが報告されつつある。本稿では,神経細胞の極性形成をつかさどる分子メカニズムに関して最新の知見をわれわれのデータもまじえて概論する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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