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文献詳細

雑誌文献

生体の科学52巻3号

2001年06月発行

文献概要

特集 脳の発達に関与する分子機構

脳の発達におけるグリアの役割

著者: 山田恵子1 渡辺雅彦2

所属機関: 1日本学術振興会 2北海道大学大学院医学研究科生体構造解析学分野

ページ範囲:P.240 - P.244

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 グリアはニューロンとともに神経系を構成する細胞である。中枢神経系のグリアは,ニューロンの細胞体やシナプス・血管・脳表面を被覆するアストロサイト(星状膠細胞),髄鞘を形成するオリゴデンドロサイト(稀突起膠細胞),損傷時に活性化して食作用を発揮するミクログリア(小膠細胞)に大別される。近年の研究により,グリアは生理活性物質を産生し,神経伝達物資の受容体やトランスポーターなど種々の機能分子を発現することが明らかになってきた。現在,グリアは単なる支持組織ではなく,脳のあらゆる機能側面においてニューロンの親密なパートナーとして認識されるようになった1)
 成熟神経系におけるグリアには栄養因子の供給をはじめ,脳内環境の維持,シナプス伝達の修飾,電気的絶縁など多様な機能が知られている。一方,発達神経系では,放射状グリアによるニューロン移動のガイド2),アストロサイトによる軸索走行のガイド3),髄鞘形成細胞によるイオンチャネルのクラスタリング作用4),軸索径の増加作用5)などの機能が報告されている。また,ある種のグリアは神経幹細胞としての特性をもち,グリアだけでなくニューロンも産生する可能性が指摘されている6,7)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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