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特集 骨格筋研究の新展開
ニワトリ胚子における骨格筋の発生
著者: 平野茂樹1
所属機関: 1新潟大学医学部保健学科検査科学専攻
ページ範囲:P.261 - P.266
文献購入ページに移動 全身の骨格筋は中胚葉から発生する。頭部中胚葉はソミトメアとよばれる脳胞の脇に分布する細胞集団からなり,所定の位置に移動後,頭部の骨格筋を発生させる。一方,体幹部中胚葉は沿軸中胚葉と称せられる神経管の両脇に陥入してきた細胞集団として現れ,次いで規則正しく左右対称に分断された体節になる。体節はさらに変化し,椎板,皮板,筋板に分かれる。このようにして現れた筋板から体壁と体肢の骨格筋が発生する。このように頭部骨格筋と体幹部骨格筋に発生過程の違いがある。しかし筋芽細胞や筋細胞に分子的な差異は認められていない。また,筋束の一つ一つは基本的に全て異なった特定の神経の支配を受けながら特定の関節の運動に関っているので,互いに相手を認識して結合しているようにもみえる。しかし神経が筋を認識するために必要と思われる各筋を特定する特異抗体はいまだ報告されておらず,結合機構も解明されていない。こういった問題を解明するために骨格筋の発生過程の一つ一つを把握しておくことも大切なことであろう。これまで末梢神経の発生と周囲組織の関係を観察してきたが,ここで視点を変えて体幹の骨格筋の発生について筋板の分化から各筋束が分離するまでの経過をまとめてみよう。なお,ここで述べられる所見は引用された文献の一部を除いて全てニワトリ胚子のものである。そのステージはHamburgerとHamilton1)によるものである。
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